梅田にいたことがあるなら、スカイビルは知ってると思う。知らんほうが難しいくらいやから。40階建てのビルが2棟、ガラスの空中回廊でつながって、街の上にどっしりと構えてる。「見ろ」って言わんでも目に入ってくる、そういう建築物。目の前にはグランドグリーン、すぐそこにはウォルドーフ・アストリア、エリア全体がなんか動いてる感じがする。たしかにすごい。けど、そっちが目的やないやろ。
あのビルの威圧感に隠れるように、まるでスカイビルより前からそこにおったみたいな顔して、KAFFE BAR NELLIEはある。北区でも指折りのバーやと思う。いや、大阪全体で見てもそのへんに入るんちゃうかな——まあそこは後で話す。
この辺、飲む場所は正直いくらでもある。火曜の夜に時間を潰してるサラリーマンでぎゅうぎゅうの居酒屋、クラフトビアバー、「それっぽい」雰囲気を作ろうとしてるホテルのバー。選択肢が多すぎるのも逆に困るっていう話あるやんか。KAFFE BAR NELLIEはその問題を一瞬で解決してくれる。
入った瞬間、部屋が全部説明してくれる。低めの照明、漂う煙、クラフトカクテルを傾けるスタイリッシュな人たち、バーの上の壁に無音で映し出されるモノクロの映画、キビキビと動くバーテンダー。バラバラなようで、なぜかひとつの美学としてまとまってる小物たち——まるで20年かけて「本当に好きなもの」だけを持ち込んで作られた空間みたいな。音楽もいい。気づいたら聴き入ってて、「あ、いかん」ってなってもう一杯頼む、そういう音楽。
主役はカクテル。バーカウンターの向こうにいる人が何をしてるか分かってるのは、長い時間かけてうまくなった人間だけが醸し出せる空気感があると思う。丁寧やけど無機質やない、独創的やけど「見て見て」ってなってない——そういうバランス。
最初の一杯に迷ったらハイボールを頼んでみて。氷なし。最初それ聞いたときは「え?」ってなるんやけど、飲んだら分かる——完全に意図的な、めちゃくちゃかっこいいアレンジやから。次は菊花のジン&トニック。上品で、主張しすぎなくて、でも飲んだらじわっとくる。この2杯でKAFFE BAR NELLIEが何なのか全部分かると思う。クラシックで静かに洗練されてる面と、自信を持ってオリジナリティを出してる面と、どっちも「頑張ってます」感がない。メニューの日本語で分からん単語があっても、On The Houseに一通り載せてるから参考にしてみて。
値段については、安くはない。テーブルチャージもある。でもそれを知ったうえで行けば全然気にならへんと思う。部屋の空気も、カクテルも、バーテンダーの「雰囲気代じゃなくて本物を出す」っていうスタンスも、全部ちゃんとお金の価値がある。インスタ映えに全力でフォロワー稼いでるだけのバーが平気でもっと高い値段取ってたりするわけで、KAFFE BAR NELLIEはそういう店やない。何度でも来たくなる店や。
客層は、バーが「狙って作った」んじゃなくて「本当にええから集まってきた」感じのミックスで、それが心地いい。何年も通い続けてる常連、地元の人、ウォルドーフからふらっと迷い込んで結果として今回の旅で一番ええ偶然に出会ったみたいな観光客。誰も何かを演じてない。ただそこにいる。
KAFFE BAR NELLIEは、梅田みたいな規模と洗練を持った街には似合わへんような気がするバーや。でも、だからこそ見つける価値がある、とも思う。北区があまり縁のない場所なら、同じ「哲学」を持った南側のエリアとして本町ガイドも読んでみてほしい。
📍 〒553-0003 大阪市福島区福島6丁目25−28−101 · @bar.nellie
いっこいや。